口腔顔面痛(Oro Facial Pain :OFP)
コウクウ・ ガンメン・ツウ(口腔顔面痛)ってなんのこと?
なんだか聞き慣れない病名ですよね!
おおまかに解説していきます.
歯痛, 歯肉痛を含めて舌, 口腔粘膜の痛みなど, 口の中のいろいろな痛み, 顎の痛み, 顔, 頭の痛みなどを全部まとめて口腔顔面痛と呼びます.
もう一つの意味として, そのような痛みの中でなかなか診断がつかず, 治らない痛みを指すこともあります.
口腔顔面痛のなかで最も頻度の高い痛みは, 非歯原性歯痛です.
歯やハグキ, 顎に原因がないのに, いかにもそれらが痛いように感じられることがあります.
そのような歯の痛みを非歯原性歯痛と呼びます.
非歯原性歯痛の原因は痛みを感じている部位には無く, 別な部位にあります.
痛いところに原因がないので, 正しく診断されないことがよくあります.
でも歯に痛みを感じるので, 歯の治療を受けていることが多いのですが, 残念ながら歯が原因ではないので普通の歯科治療をしても良くなりません.
口腔顔面痛はその痛みが発生する仕組みにより
- 現場被害の痛(侵害受容性疼痛)
- ケーブル異常の痛み(神経障害性疼痛, いわゆる神経痛)
- コンピュータの情報処理間違いの痛み (痛覚変調性疼痛: 心理・社会的疼痛, 脳が作る痛み)
の3つに分類されます.
この動画は, 私が在籍していた慶應義塾大学医学部病院 歯科・口腔外科
顎関節症/ 口腔顔面痛研究班の元チーフ, 和嶋浩一先生が出演オンエアされた際の動画です.
口腔顔面痛の中で扱う代表的疾患「非歯原性歯痛」に関するもので, その中でも多い「筋・筋膜痛による歯痛」が分かりやすく説明されています.
https://www.youtube.com/watch?v=bwfvyHBh_lA
また, 国際口腔顔面痛学会分類(通称 ICOP)が世界標準の考え方になってきていて, 実は顎関節症も口腔顔面痛の仲間です. (日本の歯科では, まだあまり知られていません)
以下にICOP分類をなるべくわかりやすく記載します.
🌿 わかりやすい「口腔顔面痛(お口と顔の痛み)の分類」
(ICOP:国際口腔顔面痛学会による考え方)
お口や顔の痛みには、いくつかの種類があります。
「どこから痛みが来ているのか」を整理すると、診断や治療がスムーズになります。
① 歯や歯ぐきからの痛み 🦷
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むし歯や歯周病など、歯や歯ぐきそのものが原因
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歯を抜いたあとや外傷での痛みも含まれます
② 神経の痛み ⚡
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「電気が走るような」鋭い痛みが特徴
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代表例は三叉神経痛や、神経が損傷してジンジン・ピリピリする痛み
- 加えて、痛みだけではなく痺れ(感覚の鈍麻、触った刺激なのに痛いのアロディニア、触ったら変な感じのパレステジア、触ったら嫌な感じのディセステジア、受けた痛み刺激レベル以上に痛くなる痛覚過敏)という言い方で、さまざまなバリエーションやグラデーションがあります
③ 筋肉やあごの関節からの痛み 💪
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かみしめや食いしばりで筋肉が疲れて痛む
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顎関節症による関節の痛みや動かしにくさ
④ 頭痛が顔に広がるケース 🤕
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片頭痛や緊張型頭痛が、お口や顔にまで影響することがあります
⑤ けがや病気のあとに残る痛み 🩹
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手術や抜歯のあとに続く痛み
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帯状疱疹後神経痛のように、皮膚病変のあとに残る痛み
⑥ ほかの病気が関係する痛み 🫀
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心臓、耳、鼻、副鼻腔などの病気が、お口や顔の痛みとして感じられることがあります
⑦ 原因がはっきりしない痛み ❓
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検査をしても明確な原因が見つからない痛み
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「慢性顔面痛」として扱われることがあります
💡 ポイント
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口腔顔面痛は「歯の問題」だけではなく、神経・筋肉・頭痛・全身疾患など多くの要因が関わります。
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そのため、適切な診断を行い「どのタイプの痛みか」を見極めることが、治療の第一歩です。
口腔顔面痛と思われる患者様は, 患者様ご自身の病脳歴史の整理としてとても大切なため, 症状の始まりから, 通院/検査/治療/投薬等の履歴を時系列で手書きなどで記録をお願いいたします.
患者様にとって面倒で, 根気のいる作業となりますが, 診断するためにとても役立ちますのでよろしくお願いいたします.
口腔顔面痛web予約と専用問診票入力は,
口腔顔面痛:初めて / 久しぶり(問診票の記入が必要です)
から
https://5cmp.app.link/PitZTGzrsub
